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2020年12月

バレンタインの思い出

高校のとき、部活で他校の先輩を好きになって、
チョコを渡そうと、バレンタインに呼び出した。
そういえば、どうやって呼び出したんだっけ。
もう30年も前の話ですよ。
待ち合わせは、お互いの家のちょうど中間あたりにあった公衆電話を選んだ。
それは覚えてるんだけど、いつ、どうやって「来てください!」とか言ったんだっけ。
全然思い出せない。
まあいいや。
先輩はちゃんと約束通りに来てくれたんだけど、
私の姿を確認して、一言目にこう言った。

「あれっ、もうひとりの子のほうじゃなかったんだ」

マネージャーは2人いて、ああ、えっと、
私は陸上部のマネージャーを友達と2人でやってたんだけど、
先輩は友達の方がくるものだと思っていたらしい。
あの子じゃなくてごめんなさい。そう思いながらチョコを渡した。
胸の奥が真っ暗で、何も考えずに家に帰った。

次の日、部活のときに先輩方に口々に言われた。

「あいつにチョコ渡したんだって?生意気~。百年早いよ」
「でもあいつさ、チョコくれるの〇〇のほうだと思ってたんだってよ。かわいそう~」
「あんなろくでもないやつの、どこがいいの?」
「手作りチョコ渡したんだって?すごいねえ~~笑!」

尊敬していた先輩たちの性根に初めて触れた瞬間だった。
こんな顔で、こんなふうに私を茶化すような人たちだったんだ。
あの人も、私からチョコをもらったこと、もう言ったんだ。
こんなに、言いふらされるような、ことだったんだ。

頭の中が真っ白になった。

これをきっかけに私は、その部活と、そのとき通っていた高校が大嫌いになった。
それ以来ずっと、同世代の人間と女の集団とは遠距離を保てることが第一条件の生活を選んでいる。

社会に出たら、そういう性根の人間は少数派であることがわかった。
ほとんどの人は人の気持ちを汲み取れて良識があり、
たくさんの良い出会いに恵まれた。
人として出来上がっていない田舎の女子高生連中のことなんか、すっかり忘れた。

それをなぜ、いまさら夢に見るのか。謎。

あの頃の私は、平気でからかえるような存在だった。
価値基準が幼い世界では、劣っていて、バカにされる対象だった。
それを私も認めていた。自信というものがまったくない頃だったから。

あの先輩たちは、今も同じように高笑いしながら暮らしているんだろうか。

私は今とても幸せで、大切な人たちと毎日笑いながら暮らしていますよ。

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